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自分の言葉で

ペン字展 UPの時 
面白い詩があったと 書きましたが
作品はコレ 
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『言葉のダシのとりかた』   長田 弘
かつおぶしじゃない。
まず言葉をえらぶ。
太くてよく乾いた言葉をえらぶ。
はじめに言葉の表面の
カビをたわしでさっぱりと落とす。
血合いの黒い部分から、
言葉を正しく削ってゆく。
言葉が透きとおってくるまで削る。
つぎに意味をえらぶ。
厚みのある意味をえらぶ。
鍋に水を入れて強火にかけて、
意味をゆっくりと沈める。
意味を浮きあがらせないようにして
沸騰寸前サッと掬いとる。
それから削った言葉を入れる。
言葉が鍋のなかで踊りだし、
言葉のアクがブクブク浮いてきたら
掬ってすくって捨てる。
鍋が言葉もろともワッと沸きあがってきたら
火を止めて、あとは
黙って言葉を漉しとるのだ。
言葉の澄んだ奥行きだけがのこるだろう。
それが言葉の一番ダシだ。
言葉の本当の味だ。
だが、まちがえてはいけない。
他人の言葉はダシにはつかえない。
いつでも自分の言葉をつかわねばならない。


『食卓一期一会より/晶文社』


Amazonの内容紹介に
一期一会は食卓にあり。
人生とは ― 誰と食卓を共にするかということだ。
人生を、急がずに、たっぷりと味わいたい。
「言葉のダシのとりかた」「包丁のつかいかた」「おいしい魚の選びかた」「天丼の食べかた」
「ドーナッツの秘密」「アイスバインのつくりかた」「アレクシス・ゾルバのスープ」
全篇すべて食べもののうた!詩という言葉の料理をとおして、歯ごたえのある日々の悦びを、食卓に贈る。

カスタマーレビューには
励まされたという「ふろふきの食べかた」が紹介されていた。

『ふろふきの食べかた』    長田 弘
自分の手で、自分の
一日をつかむ。
新鮮な一日をつかむんだ。
スがはいっていない一日だ。
手にもってゆったりと重い
いい大根のような一日がいい。

それから、確かな包丁で
一日をざっくりと厚く切るんだ。
日の皮はくるりと剥いて、
面とりをして、そして一日の
見えない部分に隠し刃をする。
火通りをよくしてやるんだ。

そうして、深い鍋に放りこむ。
底に夢を敷いておいて、
冷たい水をかぶるくらい差して、
弱火でコトコト煮込んでゆく。
自分の一日をやわらかに
静かに熱く煮込んでゆくんだ。

こころさむい時代だからなあ。
自分の手で、自分の
一日をふろふきにして
熱く香ばしくして食べたいんだ。
熱い器でゆず味噌で
ふうふういって。


「コトバの揚げかた」「ぬかみその漬けかた」というのもあるらしい。
詩っていうと ちょっと難しそう002.gif
特に 現国ギリのwatasiは 敬遠したいとこだが… ちょっと 面白そう

いつか 作品展で書いてみたい♪


絵手紙でもそう この記事の文章でもそう
パッと浮かぶことも 稀にはあるけど
そう簡単には 書けないでいる。

それでも
練って練って…
最後は
自分の生きてることばで と思う。




by from-sumi3 | 2012-02-06 15:40 | 絵画展・書展